銀河に浮かぶ

<いま、生きる> という事を考え、日常を過ごす

空海の宇宙観その7 私たちの中にすべてある

 

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 空海の宇宙観として、即身成仏儀の内容をまとめた文は以下の2つの文でした。

 

 その1。

 この宇宙を構成している全ての要素は、互いに混じり合い、また常に融合し合っている。

その2。

  あらゆるものと人は、あるがままで、あらゆる事を知る智を備えている。

 

 

では、その2の説明に参ります。

 

 

 

その2。

  あらゆるものと人は、あるがままで、あらゆる事を知る智を備えている。

 

 

 先にも出て来た、一と全ということに繋がっている話です。

 

 

 悉有仏性 しつうぶっしょう、という言葉が仏教用語にあります。

悉く(ことごとく。すべて、ということ)仏性が有る、持っている、備わっている、という意味です。

空海の著作では、仏性とは宇宙そのもの(を表す大日如来)として説明されています。

宇宙そのものであり、宇宙の持つ深遠な智慧を備えている、と。

 

これは、仏教においてのみ通じるという話では決してありません。

 

心理学では、深層意識だとか

スピリチュアル界では、ハイヤーセルフだとか

仏教心理学(仏教の中でも心理学に特化した分野で、現代の心理学と通じています)では阿羅邪織あらやしきだとか

それらはすべて、大きくくくれば同様のことと捉えていいと思います。

 

現代の細胞学、そして量子学において見てみると、

私たち人間を組成しているものは、様々な細胞です。

その細胞を更に細かく見てみれば、分子であり原子であり、

そして更に細かく見てみれば、原子核とその周りを飛び交う電子です。

(各原子は、その電子の数で種の違いを決定します。)

 

そしてその細胞たちは、日々入れ替わり排出され環境の中に放出され、

そこからまた違うものや生物などを構成したりしていきます。

昨日私たちを形取っていた成分は、もう今日には違うものを形取る成分となっていたりするのです。

固定した何かで居続けるものは、無いのです。

 

これこそ、仏教で言う「空 くう」でもあり、

諸行無常でもあります。

 

 

私たちは、イコール宇宙そのものなのです。

私たちが、宇宙を構成している一部分でありつつ、また宇宙そのものということです。

 

そのものであるから、

私たちには宇宙そのものの持っているもの・智慧、働き、が備わっているのは当然と言っていいのではないでしょうか。

私たちの身体は勝手に動いて、人間という生命体として維持していくように働いています。

成長し、食べ物を摂取したいという欲求は必要なこととして自然に備わっていますし、

いろいろ取り込んで排出して、老化して。

心の動きだと私たちが普段思っていることも、

どこからどこまでが自分が意識して働かせているものなのでしょう。

人間という枠の中の一定の規律の中で働いているに過ぎません。

 

先日見た番組の中でとある科学者が語っていましたが、

一つの細胞が生まれる確率というのは、1000億回連続で宝くじに当たるような確率なのだということでした。

私たちの細胞はその奇跡のような確率で生まれた細胞が37兆個もあるのです。

 

私たちは、宇宙の一部であり、そして宇宙そのものでもあり、

本当は、私たちの中にすべては詰まっています。

空海のいう悟りは、それに気づくこと、知ること、それを体感すること。

 

 

そしてまた、私たちがここに存在しているのは本当に奇跡だということも、

感じていただけるのではないでしょうか。

私たちの奥深くに必ずある宇宙の知恵を、

少しずつでも意識していけたらと思います。

 

 

          文: 満ちる